売上はあるのにお金がない...カナダの財務のプロに聞く、スモールビジネスが毎月見るべき数字とは?

「毎日、一生懸命働いている。お客様も来てくれている。売上もある。でも、なぜか思ったほどお金が残らない……」
スモールビジネスを経営されている方の中には、こんな感覚を持ったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、
「税理士さんに毎月レシートを渡しているから、会計は大丈夫」
「HSTの申告もきちんとしている」
「年に一度、税務申告もしてもらっている」
という方も多いと思います。
もちろん、これらはとても大切なことです。
でも、ここで一つ考えてみてほしいことがあります。
「先月、このビジネスはいくら利益が出たか?」
すぐに答えられるでしょうか?

税務申告を正しく行うことは、ビジネスを続けていく上で欠かせません。
ただし、税務申告のために作られた数字と、経営判断のために見る数字には、少し違った役割があります。
税務では、「一年間で最終的にどのくらい利益が出たのか」を正しく計算することが重要です。
一方経営者にとっては、
「今月はどうだったのか?
「去年の同じ時期と比べてどうなのか?」
「セールスプロモーションの効果はどうだったのか?」
「利益が増えた、または減ったのはなぜなのか?」
「このままいくと、今後どうなるのか?」
ということを、できるだけ早く知ることが重要です。
つまり、税務のための会計だけではなく、経営のための会計も必要なのです。
例えば、あるビジネスオーナーが、「最近、経費がかなり上がっている気がする」と感じていたとします。
これは決して珍しいことではありません。物価や賃金の上昇、人手不足など、日々ビジネスをしていれば、さまざまな変化を実感します。
ところが、実際の数字を前年と比較してみると、「思っていたほど増えていなかった」あるいは、「増えているのは、実は別の項目だった」ということもあります。
逆に、「この費用は減っているから大丈夫」と思っていた項目が、実は一時的に減っていただけ、ということもあります。
だからこそ大切なのは、単純に「増えた・減った」を見ることではありません。「なぜ増えたのか? なぜ減ったのか?」まで考えることです。
数字は、経営者の感覚を否定するためのものではありません。むしろ、感覚を数字で確認し、より正確な判断につなげるためのものなのです。

では、小規模ビジネスのオーナーは、毎月何を見ればよいのでしょうか?
難しい財務分析をする必要はありません。まずは、次のような項目から始めてみましょう。
① 売上はどうだった?
先月と比べてどうだったのか、前年の同じ月と比べてどうだったのか、売上が増えているのか、減っているのかを確認します。
② Gross Profit(粗利益)はどうだった?
売上が増えていても、仕入れや原材料などのコストがそれ以上に増えていれば、利益は増えません。
そこで重要になるのがGross Profitです。
売上を増やすことだけが、利益を増やす方法ではありません。
仕入れコスト、価格設定、商品・サービスの構成などを見直すことで、Gross Profitを改善できる可能性があります。
③ 経費はどう変化した?
人件費、家賃、広告費、通信費、保険など、主要な経費がどう変化しているかを確認します。
ここでも重要なのは、「増えた・減った」だけではありません。「なぜ?」を考えることです。
④ 最終的に、いくら残った?
売上が順調でも、さまざまな費用を支払った後に残る利益が少なければ、経営者が感じる「お金が残らない」という問題は解決しません。
だからこそ、毎月のProfit & Loss(損益計算書)を確認することが大切なのです。
ここで、もう一つ大切なポイントがあります。
経営者自身が毎月すべての仕訳をする必要はありません。会計ソフトへの入力や帳簿作成については、税理士やBookkeeperなどの専門家にお願いすることもできます。
大切なのは、できあがった数字を経営者自身が理解することです。
例えば、
「今月はGross Profitが下がっています。なぜでしょう?」
「人件費率が上がっていますが、スタッフを増やしたからですか? それとも売上の変化が原因でしょうか?」
「この経費は昨年より減っています。これは良いニュースですが、なぜ減ったのでしょう?」
このような質問を毎月少しずつしていくことで、数字が「税務申告のためのもの」から「経営判断のためのもの」に変わっていきます。

私はこれまで20年以上、企業財務の仕事に携わってきました。
大きな会社では、毎月のように予算と実績を比較し、前年との違いを分析し、
「What happened?(何が起きた?)」
「Why?(なぜ?)」
「What should we do next?(次に何をする?)」
ということを考えます。
実は、この考え方は小規模ビジネスにも十分活用できます。もちろん、大企業のような複雑なレポートを作る必要はありません。
むしろ、小規模ビジネスでは、「毎月見るべき数字をシンプルにする」ことが大切だと思います。
例えば、売上、Gross Profit、主要経費、Profitなどを簡単なDashboardにまとめておけば、毎月の変化を短時間で確認できます。
そして、
数字を見る
変化に気づく
理由を考える
改善できるところを見つける
アクションする
というサイクルを作ることができます。
小規模ビジネスを経営していると、「もっと売上を増やさなければ」「もっとお客様を増やさなければ」「もっと自分が働かなければ」と考えてしまいがちです。
でも、本当に必要なのは「もっと働くこと」ではないかもしれません。
例えば、
売上は十分あるけれど、Gross Profit Marginが低い
特定の経費が利益を圧迫している
価格設定を見直す余地がある
利益率の高い商品・サービスにもっと力を入れられる
一時的な費用増加を「恒常的な問題」と勘違いしている
など、数字を見なければ気づきにくい改善ポイントがあるかもしれません。
だからこそ、私はスモールビジネスのオーナーにも「自分のビジネスの数字を、毎月一度は見てほしい」とお伝えしたいと思っています。

会計というと、「去年いくら儲かったのかを計算するもの」というイメージがあるかもしれません。
でも、会計の数字は、本来それだけのものではありません。
過去の数字を見ることで、「今、自分のビジネスはどこにいるのか」を知ることができます。
そして、その数字をもとに、「では、これからどうするのか」を考えることができます。
税理士やBookkeeperに正確な会計をお願いしながら、経営者自身は、その数字を使ってビジネスを前に進めていく。それぞれの役割をうまく分けることで、経営者は安心して本業に集中できるようになります。
そして、数字を毎月確認していれば、問題が大きくなってから気づくのではなく、小さな変化の段階でアクションを起こすこともできます。
「一生懸命働いているのに、なぜかお金が残らない。」
もしそんな感覚があるなら、まずは一度、毎月のProfit & Lossをじっくり見てみてください。
売上はどうなっているのか。Gross Profitは十分に確保できているのか。どの経費が利益に大きく影響しているのか。そして、前年や前月と比べて、何が変わっているのか。
数字を見ていくと、「もっと売上を増やさなければ」と思っていたところに、実は別の改善ポイントが見つかることもあります。
大切なのは、数字を作ることだけではなく、その数字から「次に何をするか」を考えることです。
もし、
毎月のP&Lを見ているけれど、何を見ればいいのかわからない
売上はあるのに、なぜか利益や手元のお金が増えない
どの経費や収益項目を改善すればよいのかわからない
「数字を見て経営する」ということを始めてみたい
という方は、一度、ご自身のビジネスの数字について一緒に考えてみませんか?
会計や税務の数字を「申告のためだけのもの」にせず、ビジネスをより良くするための情報としてどう活用できるか。現在のビジネスの状況や数字をもとに、一緒に整理していきます。
「自分のビジネスは、どこを改善すればもっと利益を残せるのだろう?」そんな疑問をお持ちの方は、ぜひお気軽に無料個別相談をご利用ください。








